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宮崎県測量設計業協会だより

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特別寄稿

山田 康夫(県土整備部)後藤 仁俊(農政水産部)坂口 博美(県議会議長)
永野 征四郎(建設産業団体連合会会長)|中澤 隆雄(宮崎大学工学部教授)|
中澤隆雄 「公共工事の入札・契約制度改革に向けて」


宮崎大学工学部 工学部長 教授(土木環境工学科) 中澤 隆雄
 

昨今、公共工事の入札・契約における競争性・透明性・公正性が厳しく求められている。加えて、「公共工事は真に必要か」、との声も大きくなってきており、国も地方公共団体も財政赤字に苦しんでいる中、公共工事に対する風当たりが一層強まっている。このような状況にさらに追い打ちをかけている一因として、談合の横行が挙げられる。地方自治体で、行政のトップが関与したとされる官製談合事件が立て続けに発生し、不幸にも宮崎県でも県発注公共事業に関する不祥事も生じ、公共工事発注のあり方が厳しく問われている。

入札・契約制度の基礎となっているのは予定価格である。労働力や資・機材の調達から施工までの標準的な手順に基づいて、適正で合理的な費用として算定された契約予定金額とされている。また、上限値として設定されるために不当に高額な工事契約が防止できるともいわれている。しかし、この予定価格そのものにも賛否を含めて種々の考えがある。
たとえば、予定価格を算定するのは発注者の国または地方公共団体であり、信頼性の高い設計計算書や単価データに基づいて積算されたものであるから、基本的には誤りはなく、適正な価格を積算できるとする考えがある一方、国または地方公共団体職員が建設技術全般ならびに最新技術の全容を完全に把握できておらず、建設市場の変動に即座に対応できる単価で積算できているはずはないとする考え方などである。

建設技術の高度化が進行している中で、発注者にはこれに対応できる技術力の向上が求められるが、現実には発注者能力にも限界があるとも指摘されている。
さらに、行過ぎた低価格競争による品質低下を防止する目的で設定される最低制限価格が導入されているが、予定価格や最低制限価格の公表制度・公表時期についても種々議論の分かれるところであり、予定価格、最低制限価格、価格の
みの競争、発注者の大きな裁量権(指名競争入札)、施工業者のランク付けと経営事項審査、地元中小企業保護等が談合をしやすくしているとの声もある。

国としては、「公共工事コスト縮減対策に関する新行動指針」の策定や公共工事の全プロセスをコスト面から見直す「コスト構造改革」に着手してきている。まず、「公共事業コスト構造改革プログラム」を策定し、その実現のための「公共工事コスト縮減対策に関する新行動指針」において、

  1. 工事コストの低減
  2. 工事の時間的コストの低減
  3. ライフサイクルコストの低減
  4. 工事における社会的コストの低減
  5. 工事の効率性向上による長期的コストの低減に関する施策


を、

また「公共事業コスト構造改革プログラム」においては、

  1. 事業の迅速化
  2. 計画・設計から管理までの各段階における最適化
  3. 調達の最適化


の施策を打ち出している。

地方自治体では、全国知事会が「都道府県の公共調達改革に関する指針」を緊急提言し、これをもとに公共調達制度、地域経済や雇用等の現状を踏まえ、長野県や山形県をはじめとする各自治体で改革を進めている。このような公共工事改革の中で中心的なものが入札・契約制度改革となっている。

宮崎県も「入札・契約制度改革に関する実施方針」を策定し、県職員の意識改革と法令遵守の徹底、公正・透明で競争性の高い制度への改革、入札・契約制度の適正な運用、建設業界への対応、の5本柱を中心として宮崎モデルの入札・契約制度改革を実行中である。

このように公共工事改革が進められている中で、談合の排除、コストの縮減、コスト構成の透明性、品質確保等に対する一定の成果が得られてきてはいる。しかし、さらに透明性、競争性、公正性を高めていくには、入札・契約業務を「適切に評価、保証、公表」できるシステムの確立が必要である。

そのためには、制度面から入札・契約業務を検討するだけではなく、工事計画手法の再検討、技術基準等の見直し、設計手法の見直しや技術開発の一層の推進、新技術の活用等ができ、技術に裏打ちされた高度な専門知識と倫理観を有する
専門家からなる、入札・契約業務遂行組織を立ち上げることが不可欠であり、そのための国家資格制度等の創設が急がれるべきである。

 
山田 康夫(県土整備部)後藤 仁俊(農政水産部)坂口 博美(県議会議長)
永野 征四郎(建設産業団体連合会会長)|中澤 隆雄(宮崎大学工学部教授)|